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こぶ取り(2)

2023-11-01 来源:百合文库
 すると吉四六さんは、にっこり笑って言いました。
「よし、おれに任せろ。明日、おれが行ってこぶを取ってやるからな」
次の朝、吉四六さんは腰に手オノをさして、手にはざるを持ち、おじいさんの家の前に立って大声をあげました。
「えー、こちらは、こぶ屋です。こぶはありませんか。こぶがあったら高く買いますよー」
 すると思った通り、おじいさんが飛び出してきました。
「こぶを買い取るとは、本当か!」
 すると吉四六さん、とても真面目な顔で言いました。
「はい、わしは昨日山に行って天狗からこぶの注文を受け、こぶ取りの術を教わってきました。おじいさん、あんたのこぶが不用なら、わしに売ってくれませんか。値段は一つ八文だから、両方で十六文だ」
「何と、それはありがたい! こぶを取る為には、家を売ってもかまわないと思っていたところだ。それが十六文で売れるなんて。さあ、早く取ってくれ」

こぶ取り


 おじいさんは大喜びで、こぶを売る事にしました。
 吉四六さんはこぶ代の十六文を払うとおじいさんを土間に座らせて、
「ちんんぷいぷい、うんたらかんたら・・・」
と、 適当な呪文を唱えながらこぶをなでていましたが、突然、右手に隠していた手オノを振り上げたのです。
 それを見たおじいさんは、びっくりして叫びました。
「吉四六さん! 何をするつもりだ!?」
「何って、この手オノで、こぶを切り落とすんだ!」
「め、めっそうな! そんな事をしたら、命がなくなってしまう」
「かもしれねえが、別にあんたの命がどうなろうと関係ない。ただわしは、こぶだけを買ったのだから」
「吉四六さん、許してくれ! もうこぶは売らない」
「では、こぶがおしくなったのか?」

こぶ取り


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