こぶ取り
2023-10-31 来源:百合文库
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
その吉四六さんの住む村には、両方のほっぺたに大きなこぶのあるおじいさんが住んでいました。
そのこぶは、ほうっておいても何の害もないのですが、こぶが気になって仕方のないおじいさんは、そのこぶを治そうとあちこちの医者に診てもらいました。
しかし、こぶはいっこうに治らず、高い薬代のおかげで家はだんだん貧しくなっていきました。
それでもおじいさんはあきらめず、江戸(えど→東京都)の名医に診てもらう費用を得る為に、自分の家を売ってしまおうと考えたのです。
これを知った息子の太郎兵衛は、あわてて吉四六さんに相談しました。
「何とかして、家のじいさまに、こぶの療治をあきらめさせる法はないものだろうか?」