蝶は聖夜に羽ばたく(四)(17)
いつ櫻子さんが『お外遊び』をはじめるかわからないので、鞄かばんの中に常備しているカィロを一つ取り出して彼に渡すと、千葉さんは戸惑ったようにそれを受け取った。
彼は何か言いたそうな、少し勘ねたような表情で、結局袋の中からカイロを出し、手で擦こすり合わせて温めはじめた。
永山神社から旭山動物園は、冬場の道の悪さを考慮しても、車で十五分くらいだろう。もしかしたらカイロが温まる前に着いてしまうかもしれないけれど。
時計を見ると、まもなく二時になる所だった。
「……本当に、その男が犯人なんだよな?」
「少なくとも、私はそう聞いているわ」
それをどこまで信用出来るのかは、僕たちにはわなくて、少しだけ千葉さんと僕は目を見合わせた。
「姉さんの友人だった人からの情報だから、私は信じてるわ。姉さんが死んだ後も色々手を貸してくれたの」
彼は何か言いたそうな、少し勘ねたような表情で、結局袋の中からカイロを出し、手で擦こすり合わせて温めはじめた。
永山神社から旭山動物園は、冬場の道の悪さを考慮しても、車で十五分くらいだろう。もしかしたらカイロが温まる前に着いてしまうかもしれないけれど。
時計を見ると、まもなく二時になる所だった。
「……本当に、その男が犯人なんだよな?」
「少なくとも、私はそう聞いているわ」
それをどこまで信用出来るのかは、僕たちにはわなくて、少しだけ千葉さんと僕は目を見合わせた。
「姉さんの友人だった人からの情報だから、私は信じてるわ。姉さんが死んだ後も色々手を貸してくれたの」