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蝶は聖夜に羽ばたく(三)(4)

その真剣な言葉に、ぞっとする程の冷たさと、同時に確かな怒りを感じた。
それを聞いて内海さんが、困ったように眉まゆを顰ひそめた。
「難しい事考えてたんだねぇ……。山路さん、あんたまるで刑事みたいだね」
「貴方あなたは考えてないんですか?」
「僕みたいな交番のお巡りさんが考えてるのは、町内の人たちがどれだけ痛い思いとか、怖い思いとか、嫌な思いをしないですむかって事だけですよ」

蝶は聖夜に羽ばたく(三)


内海さんが、どこか白けたように言う。
「それにさ、九条さんじゃないけれど、真実ってヤャッと同じでね、正しいも悪いも、その人の立ち位置次第でしょ」
それを少しでも公平に、フラットにする為に法律があるわけで、と、内海さんが顔の辺りで、水平にした手のひらをひらひらしてみせた。
「俺達の仕事は、それをどれだけみんなにとって、ひらべったくしてあげられるかでしよ。そういう理想論みたいなのは、SNSかワイドショーに任せておけば良いんだよ」

蝶は聖夜に羽ばたく(三)


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