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鬼が笑う(4)

2023-10-31 来源:百合文库
すると今まで怒っていた鬼は急に飛びあがって喜び、大声を出して家来たちを呼び集めました。
「祝いじゃ! 酒を持って来い! 太鼓(たいこ)も持ってくるんじゃ! 早くしろ! 川の番をしている犬どもを殺して、酒のさかなにしてしまえ!」
鬼はそう叫んで、飛び回りました。
鬼の屋敷はたちまち大騒ぎになりましたが、そのうちに鬼たちは酒によいつぶれて、みんな寝込んでしまいました。
「今のうちだわ」
娘は石のひつから母親を出すと、二人で鬼の家から逃げ出しました。
川岸に着くと船がつないであったので、二人はそれに乗って向こう岸へこいで行きました。
その頃、眠っていた鬼はのどがかわいて目が覚めました。
「おい、水をくれ!」
 鬼は娘を呼びましたが、返事もなければ姿も見えません。

鬼が笑う


「さては、逃げたな!」
 鬼は家来を起こすと、一緒に母親と娘の後を追いました。
 川岸に着いて見ると母親と娘の乗った船が、もう向こう岸の近くまで行っているのが見えました。
「それ、川の水をみんな飲んでしまうんだ!」
 鬼が家来たちに大声で言いつけると、家来の鬼たちは川に顔をつっこんで水をガブガブと飲み始めました。
 すると川の水はたちまちなくなり、母親と娘の船はどんどん後戻りして来ました。
 いよいよ鬼たちにつかまりそうになったとき、あの尼さんがどこからか現れて、
「お前さんたち、グズグズしていないで、早くお尻をまくって鬼どもに見せてやりなさい!」
と、言いました。
 尼さんも一緒になって三人が着物のすそをまくると、鬼たちにお尻を向けてプリプリプリッと振って見せました。

鬼が笑う


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