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キツネのかくれずきん(3)

2023-10-31 来源:百合文库
「じいさんに隠れずきんというのをやるから、おいらの友だちになってくれ」
と、言って、古い手ぬぐいを一枚出しました。
「なんだこりゃ?」
 キツネは、それを頭にかぶって言いました。
「隠れずきんは、かぶると姿が消えるキツネの宝物さ。じいさん、おらが見えるかい?」
 なるほど、目の前にいたはずのキツネがいません。
 おじいさんがキョロキョロしていると、隠れずきんを取ったキツネがパッと現れました。
「どうだい、じいさん。これをやるから、友だちになってくれるかい?」
「いいとも。それではわしは、このにぎり飯をやろう」

キツネのかくれずきん


 おじいさんはキツネから古い手ぬぐいを受け取り、代わりににぎり飯のつつみを渡しました。
 さて次の日、おじいさんは頭にかくれずきんをかぶって、町へ行きました。
「自分の姿が誰にも見えないとは、いい物を手に入れたわい」
 おじいさんはまんじゅう屋を見つけると、
「どれ、あそこのまんじゅうをもらうとするか」
と、まんじゅう屋へ入っていきました。
 それからいきなりまんじゅうをつかんで、ふところへ入れました。
 それを見た、まんじゅう屋の主人は、
「ドロボウ!」
と、言うなり、おじいさんの手をつかみました。

キツネのかくれずきん


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