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げんこつのほうび(3)

2023-10-25 来源:百合文库
「ありがとうございます」
 お百姓さんは喜んで荷車を引くと、城の庭を出ていきました。
 門のところへ来ると、門番が待ちかねた様に言いました。
「どうじゃ。殿さまにほうびを頂いたか?」
「はい、おかげさまで」
「よし。それじゃ約束通り、ほうびの半分をもらおうか」
 門番はお百姓さんの前に、両手を突き出しました。
 そのとたん、お百姓さんはこぶしで、門番の頭を思いっ切り殴りつけました。
「あいた! な、なにをする!」
「おらが殿さまからもらったほうびは、げんこつが十個だ。半分やるから、覚悟しろ!」
 お百姓さんはこぶしをにぎりなおすと、あと四回、門番の頭を殴りつけました。

げんこつのほうび


 これには門番もたまらず、そのままひっくり返ってきぜつしてしまいました。
「ははーん。ざまあみろ」
 気の晴れたお百姓さんは、ニコニコしながら家に帰っていきました。
 そして家に帰ると、すぐに殿さまからのほうびのお金が届きました。
 お百姓さんはそのお金で、村人たちにごちそうをしたという事です。
おしまい


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