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サルの恩返し(3)

2023-09-16 来源:百合文库
「たいへんだあ。将軍さまにさしあげる刀が、折れちまっただよ。おらは、どうすればいいんだ」
 そのとき、なかまを助けてもらったお礼のつもりか、サルたちかやってきて、勘助に一本の刀をさしだしました。
「なんじゃ? 刀じゃないか。なんでサルがこんなもん、持っとるんじゃ」
 勘助はふしぎに思いながら、刀をぬいてみました。
「おおっ! なんというすばらしい刀じゃ。これなら将軍さまもよろこんでくださるぞ」
 これはよいものを手に入れたと、さっそく出かけようとすると、後ろからサルたちが、ゾロゾロとついてきました。
 サルの指さすほうを見ると、あのばけものダコが、こちらにせまっています。
 サルたちは、この刀でタコをやっつけてくれといっているのです。

サルの恩返し


「わかった、わかったよ」
 こうして勘助は、また海の中ヘ。
「てやあっ! とう! ややっ、すごい切れあじ。これなら勝てるぞ! さあ、どこからでもかかってこい」
 その刀はするどく、あっというまにタコをたいじしたのでした。
 勘助がサルからもらった刀は、刀づくりの名人、五郎正宗(ごろうまさむね)の名刀だったそうです。
 将軍さまは、この刀を「猿正宗」とよんで、いつまでも家宝として大切にしたということです。
おしまい


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