ウルトラマンネクサス 再臨 -ドリームス(2)
「そうだ。結婚といえば」
孤門はもう一組、意外なカップルが誕生したと凪にいう。
「詩織?それとも隊長?」「残念。正解は首藤チーフ。来月結婚するそうです。相手は再婚で大きな娘さんもいるんですけどね」「まさか、その相手って」「はい。松永管理官です」
MPは解散。TLTの情報調査部門の室長と副室長の二人の婚約は、ビースト発現率が限りなくゼロになった現在の、象徴的な出来事とも言えた。
「平和か。でもこの時間を手に入れる為、私たちはあまりにも大きな犠牲を払ったわ」
「リコを失った悲しみは僕の心から消える事はない。でも今はこう思えるんです。彼女のためにも未来を強く生きるんだって。それが残された者の義務だって」「そうかもね。で、孤門は新しい恋人に出会えたの?」「え?それは………。副隊長こそどうなんです?」「私は勿論………まだだけど」何となく二人の間に流れる沈黙。それを破るように顧問が言った。
「最近、巷でこんな噂が流れてるんです」
ビーストの存在が世間に知られ、人々は恐怖と向き合い、それを克服した。
だが廃棄された筈のメモレーサーを使い、非合法に人々の恐怖の記憶を消している人物がいるという。その男は元MPらしいが、松永や首藤も正確な正体は未だ掴めていないという。
「もしその噂が本当なら、その男の目的は何かしら?」
凪が呟いた時、突如背後に男の声が響く。
「恐怖を集め、再び闇の巨人を復活させるのさ」
振り向く孤門と凪。そこに黒服の男が幽鬼の如く佇んでいた。
「人は弱い生き物。心から恐れが消えることはない。餌は無尽蔵にある」
男は取り出したメモレーサーからあふれる闇の波動を吸収。
「俺はメフィストより、ザギより、強い闇のエネルギーを手にした。見ろ、これがその姿だ!」
男が変身。おぞましい闇の巨人——ダーク·ルシフェルとなる。
「孤門、貴様ひとりで俺を倒すことは不可能だ!ふははははは!」
夜の高層ビルの間に立つ闇の巨人を見つめ、孤門は言った。
「僕は、ひとりじゃない!」
孤門はエボルトラスターをかざすと、もう一方の手で凪の手を強く握った。
「光は絆だ。その輝きは消えることはない」
凪も残る片手をエボルトラスターに添え——、二人同時に叫んだ。
「ネクサ——ス!!」
闇を照らす眩い光。その中に、再び白銀の巨人——ノアが現れて!!