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まさかの話(2)

2023-07-31日语睡前故事20210324 来源:百合文库
「ふーむ、なるほど」
 おじいさんは米を一俵も取られては大変と、いつもの口ぐせを言わない様に気をつけています。
「殿さまは家来に言いつけて、
『はよう、羽織の代わりを持ってまいれ』
と、命じて、持って来た羽織に着替えた」
「なるほど、なるほど」
「羽織を着替えてしばらく行くと、また先程のトンビが、
『ピーヒョロロロ』
と、鳴いたので、殿さまがまたカゴの戸を開けて体を乗り出すと、今度はトンビのフンが殿さまの刀にポトン」
「うーむ。まさか・・・」
 おじいさんは言いかけて、危なく思い止まりました。
「殿さまは家来に言いつけて、刀の代わりのを持って来させた。
 しばらく行くと、またまたさっきのトンビが、
『ピーヒョロロロ』
と、鳴いたんだ。
 殿さまがカゴの戸を開けて、またまた体を乗り出すと、今度はトンビのフンが殿さまの頭にポトン。
 すると殿さまは、
『はよう、首の代わりを持ってまいれ』
と、家来に命じて、自分の刀で首をチョンと切ってな。
 家来の持って来た代わりの首とすげ代えて、そのまま何事もなく旅を続けたそうじゃ」
 おじいさんは、思わず、
「まさか、そんな事はありゃんすめえ!」
と、大声で言ってしまいました。
「へい。米を一俵ありがとうございます」
 こうして吉四六さんは、おじいさんから約束の米をもらうと、さっさと帰って行きました。
おしまい



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