おじいさんはくさかった
むかしむかし、ある村に、おじいさんとおばあさんが住んでいました。
おじいさんはいつもの様に山へしばかりに出かけ、おばあさんもいつもの様に川へせんたくに出かけました。
すると川上から大きなイモが、ドンブラコ、ドンブラコと流れてきました。
「こりゃあ、うまそうなイモだこと」
おばあさんは大喜びでイモを拾うとイモを家に持って帰り、そのイモを小さく切ってカマでむしあげました。
むしあがったイモはとてもホクホクしていて、とってもおいしそうです。
おばあさんはさっそく一つつまんで、口に入れてみました。
「おやおや、何ておいしいんでしょう」
おばあさんはまた一つ、また一つと、イモをどんどん食べていきました。
するとそのうちに、お腹がはってきて、
「プーーー、プーーー」
と、おならが出るようになりました。
それが何ともくさいおならで、おばあさんは思わず鼻をつまみました。
「こりゃ、イモを食べ過ぎたかな」
おばあさんはしょうじを開けて、おならのにおいを外へ出しました。
そのおならのにおいは風にのって、山の方へ流れて行きました。
「おや? なんだかくさいぞ」
山でしばかりをしていたおじいさんは、あわてて両手をふりました。
「くさい、くさい」
あまりのくささに、しばかりどころではありません。
そこでおじいさんは山をおりて、ウシに食べさせる草をかって帰りました。
それを見たおばあさんが、おじいさんに言いました。
「おや? おじいさん、今日はしばかりじゃなかったのですか?」
すると、おじいさんは鼻をつまんで言いました。
「とんでもない。今日はくさかった」
おしまい