左甚五郎(ひだりじんごろう)の竜
2023-08-01日语睡前故事20210319 来源:百合文库
むかしむかし、宮津(みやず)地方では、田植えが終ったにもかかわらず一滴の雨も降らなかった事がありました。
困った村人たちは、
「せっかくの稲が、これでは台無しだ。雨が降らないのは水の神さま、きっと竜神さまのたたりに違いない」
と、成相寺(なりあいじ)の和尚さんに、雨乞いのお祈りを頼んだのです。
すると和尚さんは一晩中お経を唱えて、仏さまからいただいたお告げを村人たちに教えました。
「何でも、この天橋立(あまのはしだて)に日本一の彫り物名人が来ておるそうじゃ。
生き物を彫れば、それに魂が宿るといわれるほどの名人らしい。
その名人に竜の彫り物を彫ってもらえば、それに本物の竜の魂が宿り、きっと雨を呼ぶであろう」
そこで村人たちが手分けをして探してみると、和尚さんの言う通り、左甚五郎(ひだりじんごろう)という彫り物名人が天橋立の宿に泊まっていたのです。
村人たちの熱心な願いに、左甚五郎は深くうなずきました。
「仏さまのお告げに、わたしの名前が出てくるとは光栄です。