戴拿奥特曼官方小说/序章(日语原文)(2)
「俺たちも行こうじゃねーか。アスカに追いつけるようにな」
ヒビキの言葉に皆が頷き、前を向く。そして――
コウダが、マイが、カリヤが、ナカジマが、リョウが、それぞれの思いを胸に、力一杯に右の手を前に伸ばし、叫ぶ。
「ラジャ――ッ!」
その声がアスカに届けとばかりに。
人類が今、未知なる宇宙に進出するネオフロンティア・スピリッツには、荒くれた海に漕ぎ出す海賊のようなパワーが必要だ。
それを身をもって示したのがアスカ・シン――ウルトラマンダイナだ。
人間は、その最初の祖先がアフリカの深い谷に生まれた時から知っていた。どんなに困難であろうと、目の前にそびえた山を越えていかねばならないということを。それが人間という種の宿命であることを。
そびえたつ山の向こうに何があるのか、それを知るために、知りたいという心を満たすため、険しい山を登り続けることが、人間という種の存在理由であるということを。
行く手に立ちはだかるいかなる脅威にも立ち止まってはいけない。まだまだ夢を諦めちゃいけない。どんな未知の世界にも、胸を張って挑戦する権利は誰にもある。
それは、20万年の時を隔てた今でも何も変わっていない。
俺たちは信じる。いつかまた、人類の夢の果てでアスカに追いつける、その日を。
人間はウルトラマンという存在と、対等に肩を並べられる進化のその日を。
大いなる目標の実現に向け、一歩も下がらないと誓ったネオフロンティア第二ステージ(のちにアスカ記念日も制定される)が始まったその日から、13年の月日が流れ――。
2033年 ×月×日
「ようやく……ここまで来た」
目の前に広がる深淵の闇を見つめ、リョウが心の中で静かに呟く。
「でも……ここからが本当の始まり。ここから進み始めるんだ」
そこは失われた火星第二衛星・ダイモスの軌道上。ネオゼロドライブ計画4回目の飛行実験が今まさに行われようとしていた。使用されるのは最新型実験機プラズマ百式マークⅤ。
パイロットはスーパーGUTSのマーズ副隊長、ユミムラ・リョウ。