第20话 在人工的星空下(6)
第20話 人工の星空の下で
1-Cの出し物『鬼退治ボール投げ』。
参加者は野球ボール大の球を5個手渡され、それを鬼の仮装をした的役の生徒に投げて当てるという典型的な的当て系ゲームである。
ちなみに幼児用ボールなので当たっても全く痛くない。
そして――他にない要素として、この鬼たちは普通にボールを回避するのだ。
「くそっ! 当たれええええええっ!」
紫条院さんに良いところをみせようと、早朝ランニングで鍛えた肉体でボールを投げてみるが、鬼のお面と腰巻き+赤色の全身タイツで仮装している男子生徒は最小限の動きでひょいっとよけてしまう。
「はい、そこのプラカード持って入ってきた先輩! 5球全部ミスで失敗です!」
「くそ、異様に難しい……! 客に賞品渡す気ないだろ!?」
アナウンス役の女子生徒に失敗を告げられ、俺はつい文句を漏らしてしまう。
鬼たちは1mほどの円から出てはいけないというルールがあるのに、微妙な身のよじりやダンスみたいな動きでことごとくボールをかわしてくる。
どこの達人だよ。
「じゃあじゃあ、次は私がやります! 新浜君の仇は取りますから見ていてくださいね!」
「お、おお、凄いやる気だな紫条院さん」
浴衣姿があまりにも艶やかな少女――紫条院さんは普段よりさらに色香が増しているにもかかわらず、小学生男子のようなテンションで宣言する。
受付からボールを受け取ると、むっふー!と意気込みよくボールを構え、投げる。
(あ……ダメだこれ。ボールが鬼の頭のかなり上を通過する……ん?)
ワンミスを察した俺だったが、そこで何故か鬼役がぐっと腰を落とす。