清涧寺7番外:瑞花「ずいか」上
2023-12-20 来源:百合文库
二月――帝都では珍しい雪が積(つ)もったその日。
二月——帝都罕见地积了雪的那一天。
一人、麻布(あさぬの)にある清澗寺邸(てい)の離れにいた清澗寺冬貴はふと思い立ち、裸足(はだし)で庭に下(しも)りた。
住在位于麻布的清涧寺家别院的冬贵忽地停下脚步,独自一人光着脚来到院子里。
冷(つめ)たい。
好冷。
長襦袢(じゅばん)一枚では足どころかすぐに手の先までかじかみ、両手を口許に持ってきてふうと息を吐(は)きかける。
冬贵只穿着一件贴身衬衫,不只是双脚,双手也很快被冻僵到指尖,他把手送到嘴边呼了一口气。
じわりとぬくもりが沁(し)みてきた。
双手稍微暖和了一点。
けれども、もっとあたたかなものを冬貴は知っている。
但是,冬贵知道,还有更温暖的东西。
一足一足(ひとあし)踏(ふ)みしめるどこにからだの冷(ひ)えは激(はげ)しくなるからこそ、ぬくもりが欲しい。
每走一步,身体愈发变得冰冷,正因如此,才更渴望温暖。
ここにはいない、ただ一人の男の体温が。