第5话 放学后是决定好的好感度事件和生意买卖(8)
だが、我ながら仕方がないとも思っている。
俺は社会に出て、父さんが早々に亡くなった家庭で母さんがどれだけ苦労して俺たち兄妹を養っていたかを思い知った。
その母さんがくれた金を働いたこともないガキが堂々と盗っていこうとしたのだ。ブチギレずにはいられない。
(今度から火野が確実に面倒くさくなるだろうし、俺が不良と喧嘩してたなんて噂が紫条院さんの耳に入ってイメージダウンになるのが心配だけど……まあもう過ぎ去ったことを考えるのはやめよう)
どっちみち、あのままみすみす財布を奪われるという選択肢はなかったのだ。
(よし切り替えだ! 今は紫条院さんと一緒に図書委員の仕事をする大事な時間に集中しなきゃな!)
そう決めて図書室の扉を開けると――
そこには、窓辺のテーブルで本を読んでいる紫条院さんの姿があった。
(ああ……やっぱ綺麗だな……)
暮れなずむ夕暮れに彩られ、紫条院さんはそよ風に長い黒髪をなびかせる。
整った顔立ちも、輝くような髪もその静かな佇まいも――ただただ美しい。
まるで一枚の絵画のようだ。
「あっ、新浜君! おつかれさまです!」
「ああ、おつかれさま紫条院さん。待たせたかな?」
「いいえ、今来たところです!」
そのデートの待ち合わせのような会話だけでささやかな幸せを感じてしまう辺り、いくら若返っても俺って童貞なんだな……という感想を抱く。
「よし、それじゃ早速始めるか! ええと、まずは本の整理だったかな?」
「はい、ピカピカの新刊が届いたのでその配架です!」
そうして、俺は大人になってもたびたび追憶した美しい思い出の中へ再び足を踏み入れた。
俺は社会に出て、父さんが早々に亡くなった家庭で母さんがどれだけ苦労して俺たち兄妹を養っていたかを思い知った。
その母さんがくれた金を働いたこともないガキが堂々と盗っていこうとしたのだ。ブチギレずにはいられない。
(今度から火野が確実に面倒くさくなるだろうし、俺が不良と喧嘩してたなんて噂が紫条院さんの耳に入ってイメージダウンになるのが心配だけど……まあもう過ぎ去ったことを考えるのはやめよう)
どっちみち、あのままみすみす財布を奪われるという選択肢はなかったのだ。
(よし切り替えだ! 今は紫条院さんと一緒に図書委員の仕事をする大事な時間に集中しなきゃな!)
そう決めて図書室の扉を開けると――
そこには、窓辺のテーブルで本を読んでいる紫条院さんの姿があった。
(ああ……やっぱ綺麗だな……)
暮れなずむ夕暮れに彩られ、紫条院さんはそよ風に長い黒髪をなびかせる。
整った顔立ちも、輝くような髪もその静かな佇まいも――ただただ美しい。
まるで一枚の絵画のようだ。
「あっ、新浜君! おつかれさまです!」
「ああ、おつかれさま紫条院さん。待たせたかな?」
「いいえ、今来たところです!」
そのデートの待ち合わせのような会話だけでささやかな幸せを感じてしまう辺り、いくら若返っても俺って童貞なんだな……という感想を抱く。
「よし、それじゃ早速始めるか! ええと、まずは本の整理だったかな?」
「はい、ピカピカの新刊が届いたのでその配架です!」
そうして、俺は大人になってもたびたび追憶した美しい思い出の中へ再び足を踏み入れた。