第3话 和憧憬的少女跨越时光的再会(7)
ただ社会に出たら『若い女性や強面の人と話すのが苦手』なんて言ってられなくなっただけだ。
何せ仕事においては美人だろうが頭のおかしいクレーマーだろうがパワハラ全開の上司だろうが、嫌でも話をまとめないとならないのだ。
それができなければさらに周囲から叱責や嫌味が飛んでくるのだから、自然とある程度の会話術や振る舞いは身につく。
(ま、今は紫条院さんと12年ぶりに話せてテンションがすごく上がっていることも大きいけどな)
「ああ、紫条院さんと話していてボソボソした喋り方はやめるって決めたんだ」
「え……私ですか?」
「そう、紫条院さんはいつも元気に話してくれるからすごく気分がいいんだよ。だから俺も見習って今後はハキハキ喋ろうって気になってさ」
まあ、そもそも就職した直後に声出し大好きな体育会系上司に何度もキレられてボソボソ喋りはできないよう調教されたんだけどね。
「そうなんですか! ふふっなんだか褒められてるみたいでくすぐったいです」
好感度稼ぎのようにもとれる俺の言葉に、紫条院さんはただはにかむ。
彼女は優しくて明るくて――そして子どものように天然だ。
だからこそ彼女を狙う男子がわんさかいる高校生活においてもまったく相手の熱い視線を理解せずに、この容姿なのに恋人が出来ることはなかったのだ。
「あ、それって図書室に返す本だろ? 重そうだし俺が持つよ」
「えっ、悪いですよ。私今回は十冊も借りちゃって……」
「いいって学校なんてすぐそこだし」
俺は彼女が持っていた本入りのエコバックをさらっと手にとった。
……え、今ほぼ自動で口と手が動いたけど、俺何やってんの!?
(し、しまった! 職場のクセだこれ!)
職場にはたくさんのオバさんたちがいたのだが……これがまたムカつく人らで、荷物を抱えた彼女らに出くわすと『男なんだから言われなくても「僕が持ちますよ」って言いなさいよ! まったく気が利かないわね!』と憤慨した。
何せ仕事においては美人だろうが頭のおかしいクレーマーだろうがパワハラ全開の上司だろうが、嫌でも話をまとめないとならないのだ。
それができなければさらに周囲から叱責や嫌味が飛んでくるのだから、自然とある程度の会話術や振る舞いは身につく。
(ま、今は紫条院さんと12年ぶりに話せてテンションがすごく上がっていることも大きいけどな)
「ああ、紫条院さんと話していてボソボソした喋り方はやめるって決めたんだ」
「え……私ですか?」
「そう、紫条院さんはいつも元気に話してくれるからすごく気分がいいんだよ。だから俺も見習って今後はハキハキ喋ろうって気になってさ」
まあ、そもそも就職した直後に声出し大好きな体育会系上司に何度もキレられてボソボソ喋りはできないよう調教されたんだけどね。
「そうなんですか! ふふっなんだか褒められてるみたいでくすぐったいです」
好感度稼ぎのようにもとれる俺の言葉に、紫条院さんはただはにかむ。
彼女は優しくて明るくて――そして子どものように天然だ。
だからこそ彼女を狙う男子がわんさかいる高校生活においてもまったく相手の熱い視線を理解せずに、この容姿なのに恋人が出来ることはなかったのだ。
「あ、それって図書室に返す本だろ? 重そうだし俺が持つよ」
「えっ、悪いですよ。私今回は十冊も借りちゃって……」
「いいって学校なんてすぐそこだし」
俺は彼女が持っていた本入りのエコバックをさらっと手にとった。
……え、今ほぼ自動で口と手が動いたけど、俺何やってんの!?
(し、しまった! 職場のクセだこれ!)
職場にはたくさんのオバさんたちがいたのだが……これがまたムカつく人らで、荷物を抱えた彼女らに出くわすと『男なんだから言われなくても「僕が持ちますよ」って言いなさいよ! まったく気が利かないわね!』と憤慨した。