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たごかつぎ(3)

2023-11-01 来源:百合文库
「え? こうしちゃいられない。平助、たごは頼むよ!」
吉四六さんはそう言うと、たごを道のまん中に置いて駆け出しました。
それを後ろから見送った平助は、大笑いです。
「あはははははっ、吉四六さんめ、とうとう引っかかりおったぞ。
青に何の変わりがないのを見て、さぞくやしがるだろうな。
たごを頼まれたのは計算違いだったが、まあいい。
はやく行って、吉四六さんのくやしがる顔でも見てやるか」
平助は吉四六さんの置いて行ったたごを担ぐと、自分も大急ぎで引き返しました。
しばらくいくと村の庄屋さんが、向こうからやって来ました。
「やあ、庄屋さま。いま、吉四六さんに出会いませんでしたか? おれにだまされて、あわてて帰ったはずですが」

たごかつぎ


平助が自慢気に言うと、庄屋さんは『なるほど』と納得した顔で答えました。
「会うには会ったが、にこにこして歩いていたよ。そして、『平助は、思ったよりも馬鹿な奴だ』と、言っていたぞ」
「な、何だって?」
「そう言えばお前、吉四六さんに馬の妙薬の話を聞かなかったかい?」
「はい。庄屋さまにもらった、その薬が見つからぬと言って、おどろかしてやったのですが」
「わははははっ。平助、お前うまくかつがれたな。そんな妙薬なんかあるものか。全部、吉四六さんの作り話さ」
「何!」
「おまけに吉四六さんは、わざとあわてたふりをして、お前にたごをかつがせたんだよ。 お前があんまり人をかつぎたがるから、今日はあべこべに吉四六さんからたごをかつがせられたんだよ。 さすがのお前も、吉四六さんにはかなわないな。あはははははっ」 庄屋さんは、腹をかかえて笑い出しました。

たごかつぎ


「何てこった」
がっかりした平助は仕方なく、重たいたごをかついで村へ帰りました。
おしまい


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