蝶は聖夜に羽ばたく（四）(80)

「う……」
がらん、とバットが地面に転がり、トンネルの中にわんわんと音が響き渡った。
「俺——」
千葉さんが何か言いかけた。
その時、ゴッとくぐもった音があたりに反響した。
「よ……好美さん……」
ずるっと、力なく千葉さんが倒れ込む。

その後ろに、トンネルから剝はがれ落ちたコンクリートプロックを手にした、好美さんが立っていた。
《参考文献》
『子どもは「この場所」で襲われる』 小宮信夫 小学館
『泥棒はなぜ「公園に近い家」を狙うのか?—誰も知らなかった、お金と手間をかけない防犯術』 梅本正行 現代書林