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蝶は聖夜に羽ばたく(四)(8)

急に僕の心拍数が上がった。
だってこの道は、本当に僕にとって馴染なじみのある道で、それで——。
「よ、好美さん……?」
擦かすれた声を絞り出し、もう一度問う。
好美さんがうっすら口角を上げた。
「永山神社よ」
弐永山神社は上川地方最古の神社と呼ばれる、旭川で最も歴史ある神社だ。

蝶は聖夜に羽ばたく(四)


櫻子さんの家から近いこの神社の、大きな鳥居の見える光景は、もはや僕の『日常』の一部であり、それはつまり、櫻子さんと過ごしてきた時間の長さを意味する。
改まってお参りした事こそ少ないこの場所に、いつかゆっくり来たいなと思いながらでも「いつでも行けるや」という気持ちから、ついなかなか来る事がなかった。

蝶は聖夜に羽ばたく(四)


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