へんちくちく音機(2)
【うーん、しょうがないわねぇ。その代わり、今日からあなたたちが帰るまで、おばあちゃんの言うとおりにするのよ。そしたら後で送ってあげる。】
それから五日の間、おばあちゃんの言うとおりにした。帰る日、おばあちゃんは、ちょっと寂しそうな顔で僕たちを見送った。
【ただいま。】
誰もいない家の中に挨拶をした。玄関には、
大きなダンボール箱が置いてあった。もしかしたらとかけ寄ってみると、おばあちゃんが送ってくれたちく音機だった。早速部屋に持ち込んで、レコードをならしてみた。
はじめは、いい音楽が流れていたが、しばらくすると、
ガーガーザーザー
という声が聞こえてきた。どうしたんだろう。僕は、ダイヤルをいじくり回していると、
【コソバイでござる。】
という声がした。僕は、辺りを見回した。
【誰だい】
【目に前にいるでござる。ところで、ここはとこでござる】
【君が喋っているの】
【セッシャ以外誰が喋るんでござるか】
【信じられない。ここは、亀岡市だけど。】