スズメになった若者
2023-10-28 来源:百合文库
むかしむかし、あるところに、貧乏ですが正直者のおじいさんとおばあさんが住んでいました。
ある日、おじいさんがいつものように山へたきぎを取りに行くと、どこからともなく、おいしそうなお酒のにおいがただよってきました。
(はて、不思議な事もあるものだ)
おじいさんがにおいのする方へ歩いて行くと、竹やぶの前に出ました。
すると、どうでしょう。
竹やぶの中には竹で出来た酒だるがあって、スズメたちがそのまわりでチュンチュンと楽しそうにおどっているのです。
(これはこれは、なんて可愛いスズメたちだ)
おじいさんがニコニコして見ていたら、一羽のスズメが飛んできて、
「さあ、おじいさんもお酒を飲んでください。このお酒を飲むと良い事が続いて、きっと幸せになりますよ。チュン、チュン」
と、言うのです。
おじいさんはスズメたちのところに行って、そのお酒をごちそうになりました。
「うん、これはうまい」