改心した、おいはぎ(2)
しかし宗兵は名の通った商人だけあって度胸も座っており、あわてる事なく相手の様子を観察しました。
よく見ると、おいはぎはまだ若くて、突きつけた刀の先がぶるぶると震えています。
(ははーん。こいつ、おいはぎをするのは今日が初めてだな。それなら)
宗兵は相手になめられない様にしっかりした口調で、しかし、相手を怒らせない程度に腰を低くして言いました。
「有り金と言いましても今は仕入れの帰りで、一両ほどしか持ち合わせがありません。仕入れた品はありますが、とても素人さんには売りさばけない品です。そこで、どうでしょう?東金の街まで、一緒に来てくれませんか?それなら、もう少し出せるのですが」
「うっ、うそじゃ、ないだろうな?」
「はい、わたしも商人です。うそは、申しません。それに、お前さんが一緒に来てくれると、これからの道のりも安心ですし、荷車の後押しをしてくれれば、さらに助かりますので」
「・・・本当に、金をくれるのだな?」
「はい、本当です。だます様な事はしません」
「・・・わかった」
こうして話しがまとまり、宗兵とおいはぎは東金の街へと向かったのです。
おいはぎが荷車の後押しをしてくれたおかげで、あっという間に東金の街へ着く事が出来ました。
そして自分の店の前まで来た宗兵は、大きな声で言いました。