サザエ売り
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもゆかいな人がいました。
さて、久しぶりに臼杵(うすき)の町へ出た吉四六さんは、何か変わった物はないかと大通りを歩いていました。
すると、魚屋の前に出ました。
店には立派なサザエが、いくつも並んでいました。
「ほほう、サザエか。・・・サザエねえ。・・・よし、一儲け出来そうだ」
ある名案を思いついた吉四六さんは、魚屋に入って行きました。
「あの、これは、何ちゅう物かな?」
吉四六さんは、わざと知らないふりをしてサザエを指差しました。
「ああ、これはサザエという物だ。お前さん、知らんのかい?」
吉四六さんはサザエを手に取ると、いじってみたり、重さを計ってみたりしながら、
「これは珍しい形の貝だ。家の土産に買って帰りたいので、三つほどくれや」
「へい」
魚屋が吉四六さんにサザエを渡すと、吉四六さんが言いました。
「すまんが、火箸の様な、固い棒を貸して下さい」
吉四六さんは火箸を借りるとサザエのふたをこじ開けて、中身を取り出しました。