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三郎の初夢(3)

2023-08-01日语睡前故事20210303 来源:百合文库
 ウマも人も、うまれて初めて食べた物の味が一番好きですからね」そこで殿さまが刈り入れた年の違う草を用意すると、馬はそれぞれ違う年に刈り入れた草を食べたのです。
 三郎のおかげで、この問題も見事に正解です。
 答えを聞いた鬼の王は、またまたにがい顔をしました。
「人間め、なかなかやるな。だが、次はとけまい」
 しばらくすると鬼の国から、大きな鉄の矢が飛んできました。
ひゅーーーん、ずとーん!!
 お城の庭に深々と突きささった鉄の矢を見ると、手紙が結びつけてあります。
 その手紙には、こう書かれていました。
《この鉄の矢を抜いて、鬼の国までかついでこい》
「よし、今度は何とかなるだろう」
 殿さまの命令で、力じまんの家来たちがよってたかって鉄の矢を引き抜こうとしました。
 しかし鉄の矢は地面深くに突きささっていて、家来が何人がかりでもびくともしません。
 こまった殿さまは、また三郎のろうやに行きました。
「三郎よ、またお前の知恵を貸してくれないか」
 話を聞いた三郎は、にっこり笑って言いました。

三郎の初夢



「殿さま。引っぱって抜こうとするから、矢は抜けないのです。
 考え方を変えて、まわりの土をほればよいのです」
「そうか。なるほど」
 三郎の言う通りにまわりの土をほると、鉄の矢はかんたんに抜けました。
 これに感心した殿さまは三郎の罪を許して自分の家来にすると、鉄の矢を鬼の国へ持って行く使いにしたのです。
 さて、見事に鉄の矢を持ってきた三郎を見て、鬼の王は感心して言いました。
「人間の中に、お前のような知恵のある者がいるとはおどろきだ」
 鬼の王は、三郎の前にお酒のとっくりを置きました。
「これが、最後の問題だ。ここにある鬼王の酒は、なんの酒だ?」
 すると三郎が、にっこり笑って言いました。
「はい。普通なら『鬼の酒は、人の生き血をしぼる酒』と答えるでしょうが、あなたはそんな悪い鬼には見えません。きっと、普通の酒でしょう」
「がははははは。見事だ」
 鬼の王は、自分のお酒を三郎に渡して言いました。
「約束通り、姫の事はあきらめよう。その酒はほうびだ、持って帰るが良い。一口飲めば、百日寿命が延びる名酒だ」

三郎の初夢


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