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三郎の初夢(2)

2023-08-01日语睡前故事20210303 来源:百合文库
 鬼の嫁になるなんて、とんでもありません。
 お姫さまは今にも泣き出しそうになり、父親の殿さまは鬼の王の申し出をきっぱりと断りました。
 すると、これに腹を立てた鬼の王が、
「ならば、これから出す三つの問題に、見事答えてみろ! もし答えられなければ、お前の国に攻め込み、姫も国もうばい取ってやる!」
と、言ってきたのです。
 まず、最初の問題です。
 鬼の王は、はしからはしまで同じ太さの棒(ぼう)を送ってきて、
《この棒のどちらのはしが根っこだったか、見分けろ》
と、いうのです。
殿さまや家来たちがいくら棒を見ても、どっちが根っこだったかなんてわかりません。
 そこで殿さまは、家来たちとこんな相談をしました。
「このままでは、この国は鬼にせめほろぼされてしまう。くやしいが、万一の時は姫に嫁へ行ってもらうしか・・・」
「しかし、それでは姫さまが・・・」
 この話を聞いて泣きながらご飯を運んできたお姫さまに、鬼の話しを聞いた三郎はにっこり笑って言いました。
「姫さま、泣かなくても大丈夫です。

三郎の初夢


 木という物は、先よりも根っこの方が重いもの。
 棒のまん中を糸でしばってつるすと、重い根っこの方が下にさがります」
この話しをお姫さまから聞いた殿さまは、三郎の教えてくれた方法で根っこだった方を調べて、そっちに印をつけて鬼の国へ送り返しました。
「ぬぬっ、人間にも、多少は知恵のあるやつがいるな」
 鬼の王は苦い顔をすると、今度は同じ大きさ、同じ顔、同じ毛並みの白い馬を三頭送ってきました。
次の問題は、
《これらの馬を、歳の順に見分けろ》
と、いうのです。
 三頭の馬は見た目が全く同じなので、どれが年上でどれが年下か、さっぱりわかりません。
 こまった殿さまは、三郎のろうやに行って言いました。
「三郎よ。先ほどの問題を見事にといた、お前の知恵を貸してくれないか」
 すると三郎は、にっこり笑ってこう答えたのです。
「殿さま。馬が食べる草を、刈り入れた年の順に三つ用意してください。今年の草を食べたのが一番若く、前の年の草を食べたのがその次で、前の前の年の草を食べたのが一番の年寄りです。

三郎の初夢


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