約束のネバーランド~戦友たちのレコード~(试阅部分搬运(3)
2023-06-15约定的梦幻岛 来源:百合文库
『みんな仲良く、楽しいお茶会を』
旅立ちの会話は、柔らかな少女の声で締めくくられる。クッキーに書き添えられた手紙は、十三年間、そのままだった。
新しい脱獄者が、やってくるその日まで。
(はは……最期の〝お茶会〟のつもりだったんだけどな)
まさか食っちまうとは。空になったクッキー缶を前にし、ユウゴは拳銃を握り一人思いつめていたのが馬鹿馬鹿しくなった。あの出会いから今日までずっと、新しい脱獄者達の、予想外の行動に振り回され続けてきた。大事なシェルターを〝人質〟に脅され、案内役(ガイド)を押しつけられ……。シェルターの中を賑やかに駆け回る足音と声が蘇る。ユウゴは胸中で呆れた後、表情を引き締めた。
(死ぬなよ)
さらわれていった少女へ、ユウゴは声には出さず呼びかける。
そして背後をついてくる、険しい眼光の少年を、肩越しに振り返る。
自分の家族はもう戻らない。だからこそ、もう誰にも、同じ道を歩ませたくなかった。
(は……今さら、都合が良すぎるな……)
自分はこの旅の途中で、この二人に、絶望を味わわせようとしていたのに。
ユウゴは視線を前へ戻すと、自嘲する。
新しい脱走者達の姿は、そのままあの頃の自分達に重なった。希望に満ちて、どんな困難が待ち受けているとしても、望む未来を手に入れてみせると瞳を輝かせていた。
かつて自分達GB(グローリー=ベル)のメンバーは、たどり着いたあのシェルターを拠点に、人間の世界を目指すための準備を始めた。
旅のための狩りを覚え、武器の扱い方を身に着けた。保存食を作り、新しい衣服も用意した。準備は協力し合って順調に進められていたが、シェルターを出る日が近づけば近づくほど、誰もが緊張感を抱いた。外へ出れば、再び農園の追手に追われるかもしれない。野良鬼だって油断はできない。人間の世界へ──その手がかりがある『A08−63』へ行くとみな決意していたが、不安も当然あった。
旅立ちの会話は、柔らかな少女の声で締めくくられる。クッキーに書き添えられた手紙は、十三年間、そのままだった。
新しい脱獄者が、やってくるその日まで。
(はは……最期の〝お茶会〟のつもりだったんだけどな)
まさか食っちまうとは。空になったクッキー缶を前にし、ユウゴは拳銃を握り一人思いつめていたのが馬鹿馬鹿しくなった。あの出会いから今日までずっと、新しい脱獄者達の、予想外の行動に振り回され続けてきた。大事なシェルターを〝人質〟に脅され、案内役(ガイド)を押しつけられ……。シェルターの中を賑やかに駆け回る足音と声が蘇る。ユウゴは胸中で呆れた後、表情を引き締めた。
(死ぬなよ)
さらわれていった少女へ、ユウゴは声には出さず呼びかける。
そして背後をついてくる、険しい眼光の少年を、肩越しに振り返る。
自分の家族はもう戻らない。だからこそ、もう誰にも、同じ道を歩ませたくなかった。
(は……今さら、都合が良すぎるな……)
自分はこの旅の途中で、この二人に、絶望を味わわせようとしていたのに。
ユウゴは視線を前へ戻すと、自嘲する。
新しい脱走者達の姿は、そのままあの頃の自分達に重なった。希望に満ちて、どんな困難が待ち受けているとしても、望む未来を手に入れてみせると瞳を輝かせていた。
かつて自分達GB(グローリー=ベル)のメンバーは、たどり着いたあのシェルターを拠点に、人間の世界を目指すための準備を始めた。
旅のための狩りを覚え、武器の扱い方を身に着けた。保存食を作り、新しい衣服も用意した。準備は協力し合って順調に進められていたが、シェルターを出る日が近づけば近づくほど、誰もが緊張感を抱いた。外へ出れば、再び農園の追手に追われるかもしれない。野良鬼だって油断はできない。人間の世界へ──その手がかりがある『A08−63』へ行くとみな決意していたが、不安も当然あった。