うみの最後の夢、叶えてくれますか。(9)
「あの時少しは疑っても、実際、本当に当たってしまった」
うみは知っている。おかーさんに「未来視」の力を信じ込ませた、あの夢。
「あれから、いくつもの悪い夢を見たの。
「大事な人が崖から落ちたり、海におぼれたり…悪い夢ばっかりなの。
「だから、もう誰かに近づくことはできないと、決めたよ。
「私は死ぬのは構わない。
「でも、誰かを巻き込むのは嫌。
「また誰か、大事な人がいなくなるのは耐えられない…
「そういう話も、誰に言い聞かせることすら思ったことがない。
「うみちゃんは島外の人間だから、すこし話しても、許されると思うの。
「うみちゃんが帰ったら、また一人になるのよ、そしてずっとずっと、一人で、孤独で死ぬの。」
「そんな寂しいこと言わないでください、しろはちゃん!」