うみの最後の夢、叶えてくれますか。(16)
「うみちゃんのいない幸せなんて、いやだよっ!うみちゃんと一緒じゃなきゃ、幸せになれないの!」
うみの手が強く強く握られて、動かすのも大変だった。
おかーさんのその繊細の手に、こんな力があるなんて、初めて知った。
おかーさんの全身が大きく震えている。
悲しくて寂しくて仕方ないのを、分かっている。
うみの思ったよりも、おかーさんはうみのこと、大事にしてくれる証、いま切実に伝わって来ているのだ。
おかーさんがそこまで苦しませるのは本当にいやだけど、ここで譲ったら、この長い旅の意味は失うの。
涙でボロボロなおかーさんを見るのはどんなことよりも辛いが、
うみは決心をつけて、おかーさんに向き直して、
その言葉をちゃんと伝うの。
ー BGM:夜は短く、空は遠くて… ー