竜吟虎嘯 第三章(2)
「冗談じゃないよ!その英気のナポレオン大公がここに来る?胡散臭いな!」「ただの金が目当てのクズ野郎じゃねぇ?」「そうだ、そうだ、さっさと退け!商売の邪魔だ!」と貧民街の民衆らが乞食を追い払うようにこう言った。
「ナポレオン·バルトという反逆者を捕まえた者には黄金三十両授けよう!」兵長の声が聞こえてきた民衆らは思わず視線をナポレオン大公に向けた。「マジかよ!ナポレオン大公...様?」「おい、本人みたいだ!どうする?」「けど、反逆者って聞こえたよね?...確か捕まえたら、黄金もらえるってんだな」民衆らはナポレオン大公を捕まえるか葛藤してる。そうだ。少なくともすぐに捕まえて、軍に突き出すのではなく、捕まえるかどうかに迷ってるのだった。何しろ、この人はナポレオン大公はかつて貧民街の希望だったからだ。
「ふざけるな!反逆者は奴らだろうが!わしは神聖ローマ帝国の新任陸軍総帥にして、大公であるが、貧民街の孤児でもあった!今回生きて戻れたら、必ずこの街を振興するのじゃ!よってお前らに忌々しい百人隊をここで食い止めると命じる!」葛藤してる者たちを見て、とっさに自分が孤児であったことを思いつくナポレオン大公であった。
「そ、そうですね、貧民の希望だもの」「ナポレオン大公は貴族出身の奴らに嫉妬されたに違いない!」「そうさ、きっと貧民街の出身を見下ろして、陥れたんだ。」民衆らが煽り出す。(これはこれは思いもかけない展開だな、バカめ、誰がこんなみすぼらしく惨めなところと関わりたいんだ)ナポレオン大公が思った。
「あそこだ!ナポレオンめを見つけたぞ!」と百人隊の兵士が隊員に呼びかけた。百人隊がナポレオンの方角に向かい、途中で憤怒の民衆により通り道が塞がり、再びナポレオンの姿を見失った。「おのれ!...もういい。こいつら全員皆殺しだ!ナポレオンめ、今のうちに喜べ!俺に捕まったら、容赦しないからな。」兵士長が不快のあまりに顔を歪むほど顰めた。