第1话:从社畜穿越回那段时光(7)
俺のこの12年はただただ失っていくばかりだった。
「妹はそのことで俺を嫌って絶縁状態! 金もなければ俺が死んで悲しむ奴だっていない!」
そしてそれは、おそらくこの後もずっと変わらない。
自分を変えたり戦うことから逃げてばかりいた俺は、これから歳をとっていけばさらに卑屈になっていくだろう。
「…………戻りたい……っ! あの頃に戻りてえよぉ……っ!」
俺は子どものように泣きじゃくり無人のオフィスで叫んでいた。
「今なら……今ならわかるんだ! あの頃の時間がどれだけ大切だったか!
何かが欲しいなら戦わないといけないって……この歳でやっとわかったんだ!」
あの頃からやり直したい。
失敗だった俺の人生を。
この胸に駆け巡る狂おしい後悔があれば、今度こそ俺の人生は――
「う……っあ、が……!?」
不意に胸が締め付けられるように苦しくなり、上手く呼吸ができなくなる。
(な、んだ、これ……!)
過労から来る心臓の痛みは何度も体験したけど、こんなのは知らない……!
「ひゅ……あ、あ……ぎ……」
身体から熱が失せて急速に冷たくなっていくのがわかる。
息ができずに、全身が酸素を求めて悲鳴を上げている。
(あ、ああ……おれ、しぬん、だ……)
何度も狭心症や不整脈を経験したからわかる。
これは普通の発作じゃない。
次第に朦朧となっていく意識の中、俺は酷使し続けた体の終わりを悟る。