梓が唯のことで振り回される話‖轻音少女‖(24)
『唯の奴、ちゃんとレポートやってるか? 晶が怒ってたぞ』
『梓、いつも迷惑かけてごめんな。唯がサボらないように見張っていてくれ。あと特訓も程々にな』
『梓ちゃん、唯ちゃんのことよろしくね』
再びくすりと笑みが零れた。
携帯を置くと立ち上がり、唯の隣に腰かけ、もたれかかった。
「あずにゃん?」
「なんでもないです」
「そっかー」
あの卒業の日、先輩たちと自分の関係は終わるわけじゃないことはわかっていた。でもこれまでとおなじでもなくて、希薄になってしまうのだと思っていた。
実際はそんなことなかった。寧ろ、前よりももっと深く繋がることが出来た。
そのきっかけをくれたのは、いつだって自分たちの中心にいるのは唯なのだ、と改めて梓は唯に心の中で感謝する。
背中越しに想いが伝わるように、深く、祈る。
「唯先輩、私頑張ります。部長も、受験も」
ーーーだから唯先輩のところに戻ってきたときは、甘えさせてください
「うん、あずにゃんならできるよ!」
「なので唯先輩はレポート頑張ってください」
「うへぇーい」
気のない返事にくすくすと笑う。何気なく外を見た。
5月に入って、明るい陽光は、優しい木漏れ日ではなくなり、光の強度を強めていた。
それに伴って、植物の表面が、花々の花弁が、色鮮やかに、鮮明に、輝きだす。
まだ梅雨も来ていないけど、もうすぐ夏が始まるのだ。
携帯のメールを見返す。……そういえば、すっかり抜け落ちていたけれど、
「唯先輩、秘密の特訓バレてますよ」
「なんと!?」
『梓、いつも迷惑かけてごめんな。唯がサボらないように見張っていてくれ。あと特訓も程々にな』
『梓ちゃん、唯ちゃんのことよろしくね』
再びくすりと笑みが零れた。
携帯を置くと立ち上がり、唯の隣に腰かけ、もたれかかった。
「あずにゃん?」
「なんでもないです」
「そっかー」
あの卒業の日、先輩たちと自分の関係は終わるわけじゃないことはわかっていた。でもこれまでとおなじでもなくて、希薄になってしまうのだと思っていた。
実際はそんなことなかった。寧ろ、前よりももっと深く繋がることが出来た。
そのきっかけをくれたのは、いつだって自分たちの中心にいるのは唯なのだ、と改めて梓は唯に心の中で感謝する。
背中越しに想いが伝わるように、深く、祈る。
「唯先輩、私頑張ります。部長も、受験も」
ーーーだから唯先輩のところに戻ってきたときは、甘えさせてください
「うん、あずにゃんならできるよ!」
「なので唯先輩はレポート頑張ってください」
「うへぇーい」
気のない返事にくすくすと笑う。何気なく外を見た。
5月に入って、明るい陽光は、優しい木漏れ日ではなくなり、光の強度を強めていた。
それに伴って、植物の表面が、花々の花弁が、色鮮やかに、鮮明に、輝きだす。
まだ梅雨も来ていないけど、もうすぐ夏が始まるのだ。
携帯のメールを見返す。……そういえば、すっかり抜け落ちていたけれど、
「唯先輩、秘密の特訓バレてますよ」
「なんと!?」