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アトリの鐘(2)

2023-10-31 来源:百合文库
「正しさの鐘?」
人々は、不思議そうに王さまを見つめました。
「そうじゃ『正しさの鐘』じゃ。お前たちのうちの誰でも、もし人にいじめられたり、つらいめにあわされたりしたら、ここへ来て鐘をならせばよい。鐘がなれば裁判官がすぐに来て、お前たちの言い分を聞いてくれる。そして何が正しいかを、決めてくれるであろう」
「誰が鐘をならしても、よろしいのですか?」
「誰がならしてもよい。子どもでもよいぞ。見よ、そのためにつなは、このように長くしてあるのじゃ」

アトリの鐘


こうしてアトリの町では、その日から人につらいめにあわされた人や、争い事のある人は塔の下に来て、鐘をならすようになりました。
そして王さまのおっしゃった通り鐘がなると裁判官がやって来て、誰が正しいか、何が真実(しんじつ)かを決めてくれるのです。
鐘のおかげで町のみんなは、楽しく毎日を過ごせるようになりました。
そして長い年月の間に大勢の人がつなを引っ張ったので、つなが切れて新しいつなが出来るまでブドウのつるがさげられることになりました。

アトリの鐘


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