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泥棒を治す、赤ひげ先生(2)

2023-10-27 来源:百合文库
「ん、その癖とは、どんな癖ですか?」
「それが、お恥しい話ですが、息子には泥棒の癖がありましてな。そのうち、お役人さまに捕まって大変な目に会うのではないかと思うと、この先、安心して死ぬ事も出来ません。先生、 どうか泥棒の治る良い薬をお願いします」
「泥棒か、・・・確かにそれは、困った癖だな」
さすがの赤ひげ先生も、泥棒を治す薬は持っていません。
(さて、どうしたものか)
赤ひげ先生は、自慢のあごひげをなでながら考えていましたが、やがて、
「おお、そうだ。よし、そこでしばらく待っていなさい」
と、すぐに薬研(やげん→薬草などをすりつぶして、粉薬を作る道具)で何やら粉薬をつくって、紙に包んで持って来ました。

泥棒を治す、赤ひげ先生


「おばあさん。息子が泥棒に入りたくなったら、すぐにこの薬を飲ませなさい。きっと、泥棒が出来なくなるはずだ。それを何度か繰り返せば、そのうちに泥棒癖も治るだろう」
「ありがたや、ありがたや」
おばあさんは赤ひげ先生に何度も頭を下げると、喜んで帰って行きました。
さて、この出来事を奥から見ていた赤ひげ先生の弟子たちは、感心した様子で尋ねました。
「薬で、泥棒の癖まで治せるとは知りませんでした。それで一体、どんな薬を処方されたのですか?」
すると、赤ひげ先生は、
「ん、お前たちも良く知っている薬だぞ。薬というものは患者の症状に合わせて、医者がそれに見合った薬を選ぶのじゃ。お前も医者になったつもりで、わしがどんな薬を出したか考えてみなさい」

泥棒を治す、赤ひげ先生


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