舞茸(3)
尼さんたちはキノコを食べる事を止めましたが、木こりたちがどうしても食べたいと言うので、仕方なくキノコの場所を教えてあげました。
やがてその場所へやって来た木こりたちは、そのキノコをガツガツと食べ始めました。
「うまい。何とうまいキノコだ!」
たしかにそのキノコは、この世の物とは思えないほどおいしいキノコです。
たらふく食べた木こりたちは、お酒に酔った様にうっとりといい気持になってきました。
「ああ、いい気持ちだ。・・・おや? 体が?」
そのとたん、木こりたちの手足が勝手に動き出して、気がつくと木こりは尼さんたちの仲間入りをしていたのです。
尼さんたちと木こりたちの奇妙な一団は、踊りながら山中を歩き回りました。
そして日が西に傾いた頃、ようやく手足は踊りをやめて、みんなは元の状態に戻りました。
やっと、キノコの魔力が消えたのです。
この事があってから、京ではこのおいしいキノコを舞茸(マイタケ)と呼ぶようになったそうです。
おしまい