キノコ問答(3)
2023-09-16 来源:百合文库
「こら、吉四六! 今年もやはり、キノコではないじゃないか!」
すると吉四六さんは、何で怒っているのかが分からないと言う様に聞き返しました。
「あの、去年、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事かとお伺いしましたら、『さよう』と、おっしゃいましたねえ」
「いかにも、その通りだ」
「だから今年は、椎茸を献上せよとのおたっしなので、キノコを持って来たのですが。何か間違っていましたか?」
「・・・あっ、なるほど」
確かに、吉四六さんの言う事は間違ってはいません。
「しかし、それはだな。・・・よし、少し待っておれ」
困った役人は、この事を殿さまに伝えました。
すると、それを聞いた殿さまは、
「それは、面白い男だな。よし、会ってみるから連れて参れ」
と、言って、吉四六さんを庭先に呼んだのです。
そこで吉四六さんは村人が椎茸を売って正月の準備をする事と、椎茸が不作で困っている事を殿さまに説明したのです。
「うむ。そう言う事か。よし分かった。今後、お主の村は椎茸の献上は無しにしよう」
こうして吉四六さんの村はその年から、椎茸を献上しなくともいい事になったそうです。
おしまい
すると吉四六さんは、何で怒っているのかが分からないと言う様に聞き返しました。
「あの、去年、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事かとお伺いしましたら、『さよう』と、おっしゃいましたねえ」
「いかにも、その通りだ」
「だから今年は、椎茸を献上せよとのおたっしなので、キノコを持って来たのですが。何か間違っていましたか?」
「・・・あっ、なるほど」
確かに、吉四六さんの言う事は間違ってはいません。
「しかし、それはだな。・・・よし、少し待っておれ」
困った役人は、この事を殿さまに伝えました。
すると、それを聞いた殿さまは、
「それは、面白い男だな。よし、会ってみるから連れて参れ」
と、言って、吉四六さんを庭先に呼んだのです。
そこで吉四六さんは村人が椎茸を売って正月の準備をする事と、椎茸が不作で困っている事を殿さまに説明したのです。
「うむ。そう言う事か。よし分かった。今後、お主の村は椎茸の献上は無しにしよう」
こうして吉四六さんの村はその年から、椎茸を献上しなくともいい事になったそうです。
おしまい