キノコ問答(2)
2023-09-16 来源:百合文库
「なるほど、吉四六さんの言う通りだ」
そこで村人たちは千本ずつ木の苗を採ってきて、それを吉四六さんがたわらに詰めて、お城へ持って行きました。
さて、吉四六さんが持って来たたわらを開けた役人は、中身を見て怒り出しました。
「吉四六! 何だこれは?!」
「はい。おたっし通りの、木の子でございます」
「木の子? きのこ、キノコ、木の子・・・。バカ者! キノコと言えば、椎茸の事に決まっているだろう」
「あっ、なるほど、キノコとは、椎茸の事でしたか。その椎茸なら、残念ながら村人たちが、もうみんな売ってしまった後です」
それを聞いた役人は、ちゃんと説明しなかったこちらも悪かったと思ったのか、
「まあ、では仕方がない。ただし、来年は間違わぬようにいたせよ」と、許してくれました。すると吉四六さんは、恐る恐る聞き返しました。
「お役人さま。もう一度確認しますが、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事。でございますな」
「その通りじゃ」
「わかりました。では、来年は間違えません」
吉四六さんはそう言って、村へ帰って行きました。
さて、次の年の秋になりました。
お城の役人は去年の事があったので、今度は間違えない様に、
《一軒から千本ずつ、椎茸を献上せよ》
と、おふれを出しました。
ところが今年も椎茸が不作だったので、吉四六さんはまた山から木の苗を集めさせて、それをお城へ持って行きました。それを見た役人は、まっ赤になって怒りました。
そこで村人たちは千本ずつ木の苗を採ってきて、それを吉四六さんがたわらに詰めて、お城へ持って行きました。
さて、吉四六さんが持って来たたわらを開けた役人は、中身を見て怒り出しました。
「吉四六! 何だこれは?!」
「はい。おたっし通りの、木の子でございます」
「木の子? きのこ、キノコ、木の子・・・。バカ者! キノコと言えば、椎茸の事に決まっているだろう」
「あっ、なるほど、キノコとは、椎茸の事でしたか。その椎茸なら、残念ながら村人たちが、もうみんな売ってしまった後です」
それを聞いた役人は、ちゃんと説明しなかったこちらも悪かったと思ったのか、
「まあ、では仕方がない。ただし、来年は間違わぬようにいたせよ」と、許してくれました。すると吉四六さんは、恐る恐る聞き返しました。
「お役人さま。もう一度確認しますが、キノコと言えば、椎茸の事。椎茸と言えば、キノコの事。でございますな」
「その通りじゃ」
「わかりました。では、来年は間違えません」
吉四六さんはそう言って、村へ帰って行きました。
さて、次の年の秋になりました。
お城の役人は去年の事があったので、今度は間違えない様に、
《一軒から千本ずつ、椎茸を献上せよ》
と、おふれを出しました。
ところが今年も椎茸が不作だったので、吉四六さんはまた山から木の苗を集めさせて、それをお城へ持って行きました。それを見た役人は、まっ赤になって怒りました。