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ほら吹き甚兵衛(2)

2023-09-15 来源:百合文库
「甚兵衛とやら、よければ城にいる三人のほら吹き名人と、ほら比べをしてみないか? 勝てたなら、ほうびをやろう」
 こうして甚兵衛は、殿さまの前でほら比べをする事になりました。
呼ばれた三人の家来は、いつもほらの勉強をしているので、ほらがとても上手です。
「ふん、こんな田舎者(いなかもの)に、我々が負けてたまるか」
 三人とも、怖い顔で甚兵衛をにらんでいます。
「では、まずわたしから」
 一番目の家来が、言いました。
「わたしの国には、一万年もたった大きな木があります。枝は国中に広がっていて、雨が降ってもカサがいりません」

ほら吹き甚兵衛


 次に、二番目の家来が言いました。
「わたしの国には、富士山をまたいで日本中の草を食べてしまう、とても大きなウシがいます。琵琶湖(びわこ)の水なんか、ひと飲みでなくなってしまいます」
 続いて、三番目の家来が言いました。
「わたしの国には、海で顔を洗う大男がいます。大男が海の水を手ですくうたびに洪水(こうずい)が起こり、国中の家が流されてしまいます」
 それらのほらを聞いた殿さまは、大喜びです。
「よいよい、三人とも、なかなかのほらじゃ」
 殿さまにほめられて、三人の家来は自慢げに胸を張りました。
「さて、甚兵衛。お前のほらはどうじゃ」

ほら吹き甚兵衛


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