運の良い鉄砲打ち
2023-08-02 来源:百合文库
むかしむかし、とても腕の良い鉄砲打ちがいました。
ある時、鉄砲打ちが山へ出かける仕度をして家を出ようとすると、うっかり手が滑ってしまい、大切な鉄砲を石の上に落としてしまいました。
「ああ! 鉄砲の先が曲がってしまった。・・・でもまあ、鉄砲の先が曲がっても、何か取れるだろう」
と、そのまま曲がった鉄砲を持って、猟に出かけました。
鉄砲打ちが出かけた山には大きな池があり、その池にはカモがいて、あちこちで羽を休めています。
「ひい、ふう、みい・・・」
数えていくと、全部で十六羽います。
「まあ、これだけいれば、曲がった鉄砲でも一羽ぐらいは取れるだろう」
そう思って、鉄砲打ちは一発撃ちました。
ズドーン!
すると、その鉄砲の玉はジグザグに飛んで行って、何と全部のカモに当たったあげく、岩に跳ね返ってやぶへ飛び込んで行きました。
「こりゃあ、大漁だ! 曲がった鉄砲のおかげで、大もうけが出来たわい」