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二月の桜

2023-08-02 来源:百合文库

二月の桜


むかしむかし、桜谷というところに、おじいさんが孫の若者と一緒に住んでいました。
 この桜谷には、むかしから大きな桜の木があります。
 おじいさんは子どもの頃から桜の木と友だちで、春が来て満開の花を咲かせると、おじいさんは畑仕事もしないで桜をうっとりとながめていました。
 そして花びらが散ると、おじいさんはその花びらを一枚一枚集めて木の下に埋めました。
「桜や。今年も楽しませてくれて、ありがとうよ」
さて、そのおじいさんもやがて年を取り、とうとう動けなくなりました。
 二月のある寒い日、おじいさんは北風の音を聞きながら、ぽつんと若者に言いました。
「わしは今まで生きてきて、本当に幸せじゃった。だが、死ぬ前にもう一度、あの桜の花を見たいものじゃ」
「そんな事を言ったって、今は二月だ。いくら何でも・・・」
 若者はそう言いかけて、口をつぐみました。
 おじいさんが目をつむり、涙をこぼしているのです。
 きっと、桜の花の姿を思い浮かべているのでしょう。

二月の桜


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