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星を落とす(2)

2023-08-02 来源:百合文库
 そう言って吉四六さんは、空を見上げました。
 暗い空には、キラキラとたくさんの星が光っています。
「ところで吉四六さん。あんな高い空まで、ほうきが届くのかい?」
 みんなが笑いながら言うと、吉四六さんはまじめな顔で、
「届くとも、今にきっと、金の星をはたき落としてやるからな」
と、言いながら、ほうきを振り回しましたが、もちろん、星は一つも落ちて来ません。
「あれ、おかしいな?」
 吉四六さんは、少し慌てました。
「ほれ、ほれ、落ちろ! はやく落ちろ! すぐに落ちろ!」
 怒鳴りながらほうきを振り回す吉四六さんに、村人の一人が言いました。
「だから駄目だって。もう止めなよ。屋根から落ちたら怪我をするよ」
「何、そう簡単にあきらめるものか。見ていろ!」
 吉四六さんは、むきになってほうきを振り回しました。
 するとその時、空の星が1つ、スーッと流れて、どこかへ落ちていきました。
 それは、流れ星です。
 でも、吉四六さんは、
「よし、やったぞ!」
と、大きな声で大喜びです。
「そら、そら、星が落ちただろう。わたしがほうきで落としたんだ。みんな早く行って、拾っておいで」
おしまい


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