頭の池(2)
カキは、飛ぶ様に売れました。
男はお金をふところにホクホク顔でしたが、面白くないのは町のカキ売りたちです。
「おれたちの商売を、よくも邪魔したな!」
男を囲んで袋叩きにすると、頭のカキの木を切り倒してしまいました。
「ああ、もう、金もうけ出来ない・・・」

男がしょげていると、切り倒されたカキの木の根元に、カキタケという、珍しいキノコが生えてきました。

おいしいキノコなので男が売りに行くと、これまた飛ぶ様に売れました。
面白くないのは、町のキノコ売りたちです。
「おれたちの商売が、あがったりだ!」
男を囲んで袋叩きにすると、カキの木の根元を引っこ抜いてしまいました。

男は、ガッカリです。
頭には、大きなくぼみが出来てしまいました。
やがてこのくぼみに雨がたまって、大きな池が出来ました。
「こうなったらいっその事、池に身投げをして死んでしまいたい」
男がなげいていると、頭の池でパチャンとはねるものがありました。
手に取ってみると、大きなコイです。
頭の池にはいつしか、コイやらフナやらナマズやらが育っていたのです。

男は頭の池の魚を売りに行って、またまたお金をもうけましたが、町の魚売りたちはあきれて、ポカンとながめているだけでした。
おしまい