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頭の池

2023-08-02日语睡前故事20210402 来源:百合文库

頭の池


むかしむかし、あるところに、どうにも貧乏な男がいました。

「人並みに暮らしたいなあ。・・・そうだ、観音様(かんのんさま)にお願いしてみよう」

 男が村の観音様に通って、お参りを続けていると、ある晩、観音様が現れて、
「いいだろう。お前の願い、叶えてしんぜよう。夜が明けたらお宮の石段を降りていって、最初に見つけた物を拾い、それを大事にしなさい」
と、告げました。
 やがて男が石段を降りて行くと、何か落ちています。
「ははん。これだな」
 拾いあげると、それはカキのタネでした。

「何だ、こんな物か」
 男は捨てようかと思いましたが、せっかくお告げをもらったのですから粗末に出来ません。
 ありがたくおしいただくと、これは不思議。

 カキのタネが男のひたいにピタッと張り付いて、取ろうにも取れません。
「まあいい、このままにしておこう」
 すると間もなく、カキのタネから芽が出て来ました。

 芽はズンズン伸びて、立派な木になりました。
 男がたまげていると、カキの木は枝いっぱいに花をつけ、花が終わると鈴なりに実をつけました。

「うまそうだな。試しに食べてみよう」
 男が食べてみると、甘いのなんの。
 男はさっそく、町へカキを売りに行きました。
「頭にカキの木とは、珍しい」
「おれにもくれ」

頭の池


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