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大工と三毛猫

2023-08-01 来源:百合文库

大工と三毛猫


むかしむかし、江戸の神田に一人の大工がいました。
 女房が死んで、とてもさびしかった大工は、一匹の三毛ネコを可愛がっていました。
 大工は毎朝、ネコのごはんを用意してから仕事に出かけます。
 そして夕方に仕事が終わると、ネコの大好きな魚をお土産に買って帰ります。
 ネコも大工の事が大好きで、大工の足音を聞くと、ちゃんと迎えに出るのでした。
 ところがある時、この大工は目の病気になってしまいました。
 そこで、医者に診てもらうと、
「これはひどい眼病ですな。残念ですが、とてもわしらの力では治す事は出来ません」
と、言うのです。
 それからはあまり仕事が出来なくなり、大工はとても貧乏になりました。
 もちろん、ネコに魚を買ってやる事も出来ません。
 ある晩、大工はネコに向かって言いました。
「なあ、みけや。おれの目は白く濁る病気で、とても治りそうもない。仕事が出来ずに暮らしも悪くなり、このままではお前を養う事も出来んかもしれん。いったい、どうしたものかのう?」
 大工は語りかけているうちに、うとうとと、眠ってしまいました。

大工と三毛猫


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