虫干し
2023-07-31日语睡前故事20210307 来源:百合文库
むかしむかし、吉四六さんと言う、とてもとんちの出来る人がいました。
吉四六さんはなかなかの商売上手で色々な物を売り歩きますが、今日の品物はカツオブシです。
けれど一日中売り歩いても、カツオブシは全然売れません。
「ああ、腹が減ったが、まさかカツオブシをガリガリとかじるわけにもいかないしな」
とぼとぼ歩いていると、庄屋(しょうや)さんの家にやって来ました。
家の中をのぞくと、庄屋さんがおいしそうなぼたもちを作っています。
「うまそうな、ぼたもちだ。よし、今日は、あれをいただくとするか」
吉四六さんはゴクンとつばを飲み込むと、家の中へ入って行きました。
「吉四六さん、何の用だね!」
また何かされると思い、庄屋さんは冷たく言いました。
「へえ、いつもお世語になっとります。すみませんが、おぼんを一つお貸し下さりませんか」
そう言っておぼんを借りると、吉四六さんはおぼんにカツオブシを山の様に積み上げました。
庄屋さんは吉四六さんがお土産を持ってあいさつに来たと思い、急に愛想が良くなりました。
「おお、吉四六さん。
まあ上がって、ゆっくり茶でも飲んで行くといい。