ブラブラたろう(2)
たろ助は、いつふみつぶされるか心配で、一晩中、部屋のすみでヒヤヒヤしていました。
そして朝になるのを待ちかねて、たろ助は家から逃げるように飛び出すと、その日もタ方までブラブラと遊んで帰りました。
すると家の戸口から大木のような足がニョキニョキと出ていて、窓からは太い手が飛び出していました。
「うひゃーっ、こりゃあ、たまげたー!」
たろ助は、家の中に入る事が出来ません。
「やれやれ、とんだ事になっちまったぞ。あしたも遊んでいると、家をつぶされてしまうな」
たろ助は次の日、いやいや畑仕事をしました。
夕方、家に帰ってみると、男は二回りほど小さくなっていました。
「ははーん、おらが働けば、小そうなるんだな」
それからたろ助は、毎日毎日働きました。
それにつれて男は、だんだん小さくなっていきます。
とうとう、つぼから出た時のように小さくなった男は、
「たろ助どん、ここは住みにくうなった。もう一度わしをつぼに入れて、道ばたにすててくれや」
「ほいよ、しょうちした」
たろ助は小さい男をつぼに入れて、道ばたにすてました。
それからもたろ助は毎日まじめに働いて、お金持ちになったという事です。
おしまい