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どくろをかついで(2)

2023-07-31日语睡前故事20210227 来源:百合文库
と、言いました。
 家の中から人が出て見ると、汚い身なりの一休さんが気味の悪いどくろをつけた竹ざおをつき立てているので腰をぬかさんばかりにおどろき、大あわてで家の主人に知らせました。
 いつもうやまっている一休さんがわざわざあいさつにやって来たと聞き、主人は急いで出て来ました。
「やあ、これはこれは、久衛(きゅうべえ)さん。あけましておめでとう」
「一休さん。これはどうも、ごていねいに。今年も、どうぞよろしく」
 あいさつをして、ヒョイと竹ざおの先のどくろを見たとたん、
「あっ!」
と、言ったまま、まっ青になりました。
「も、もし、一休さん、これはいったい、どうした事ですか? 正月そうそうどくろを持って来るなんて、えんぎが悪いにもほどがあります!」
 怒る久衛さんに、
「わっははははははは」
 一休さんは、お腹をゆすっての大笑いです。
「まあまあ、久衛さんや、正月そうそうおどろかしてすまん。これにはわけがあるのじゃ」
「どんな、わけですか?」
「うむ。その前に、わしがつくった歌を聞いてほしいがのう」
 一休さんは、声高らかに歌をよみ上げました。
※♪正月は、めいどの旅の一里塚
※♪めでたくもあり、めでたくもなし
 一休さんの歌に、久衛さんは首をかしげました。

どくろをかついで


「はて、『めでたくもあり、めでたくもなし』とは? 一休さん、これはどういう意味でしょうか?」
「うむ。
 誰でも正月が来ると、一つずつ年をとる。
 という事は、正月が来るたびに、それだけめいどへ近づく。
 つまり、死に近づくわけだ。
 だから正月が来たといって、めでたがってもいられない。
 それで、『めでたくもあり、めでたくもなし』じゃよ」
「ああ、なるほど」
「どんな人でも、必ずいつかは死ぬ。
 そして、このようなどくろになりはてる。
 こういうわたしだって、あと何回正月をむかえられるかわからん。
 あんたも、おなじじゃよ」
「はい。たしかに」
「久衛さんや、生きているうちに、たんといいことをしなされや。そうすりゃ、極楽(ごくらく→てんごく)へ行かれるからの」
「はい!」
「あんたは、大金持ちだ。
 少しでいいから、あまっているお金は困っている人たちにあげなされ。
 めいどまでは、お金は持って行けんからな。
 はい、さいなら」
 大金持ちの久衛さんをはじめ、ほかの大勢のお金持ちがこの一休さんの教えをまもって、貧しい人々を助けたということです。
おしまい


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