キツネとタニシ(2)
2023-07-31 来源:百合文库
「まったく、わしが勝つに決まっているのに。・・・ほら、もう見えなくなっちまった。バカバカしい」
キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。
すると、タニシの声がしました。
「おや? もう疲れたのかい? キツネさん、それではお先に行きますよ」
キツネは、ビックリ。
遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。
「おかしい。追いつかれるはずはないんじゃが」
キツネは不思議に思いながらも、また歩きはじめました。
そのうちに、山に夕日が沈みはじめました。
キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。
「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つに決まってるんだから。それに本当の事言うと、都なんか行った事もないし。・・・だいぶ、遠いんじゃろな」
キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。
すると目の前に、タニシがいます。
「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」
「そんな、バカな!」
キツネは、信じられません。
でもタニシは、そこにいます。
キツネは気持ち悪くなって、むちゅうで走り出しました。
本当は、タニシはキツネの尻尾につかまってやって来たのでした。
そうとは知らないキツネは、負けたくないので必死で走り続けました。
そのうちに疲れて、フラフラです。
するとまた、タニシの声が。
「キツネさん、そんな事では、おいこしてしまいますよ」
おどろいたキツネは、またむちゅうで走り続けました。
そして都への道しるべまで来ると、とうとうへたりこんで、
「やっと着いた! タニシに、勝ったぞ! ・・・ふうっ、疲れた。そうとも、キツネがタニシに負けるはずはないんじゃ」
ホッとしたキツネの耳に、またタニシの声が。
「キツネさん!」
キツネはキョロキョロと、あたりを見回しました。
「ここですよ、キツネさん」
タニシが、都への道しるべの上にいます。
「おそいな。今着いたところかい? わたしはとっくに着いて、都見物をすませた後ですよ」
「そ、そんなばかな・・・」
それからというもの、キツネは足が速い事をじまんしなくなったそうです。
おしまい
キツネはバカらしくなって、ちょいとひと休みです。
すると、タニシの声がしました。
「おや? もう疲れたのかい? キツネさん、それではお先に行きますよ」
キツネは、ビックリ。
遠くヘおいてきたと思ったタニシが、すぐそばにいるではありませんか。
「おかしい。追いつかれるはずはないんじゃが」
キツネは不思議に思いながらも、また歩きはじめました。
そのうちに、山に夕日が沈みはじめました。
キツネはまたまた、バカバカしくなってきました。
「タニシなんかと早歩き競走したって、なんにもならんわ。わしが勝つに決まってるんだから。それに本当の事言うと、都なんか行った事もないし。・・・だいぶ、遠いんじゃろな」
キツネは立ち止まって、おしっこをしようとしました。
すると目の前に、タニシがいます。
「キツネさん、早くしないとおくれますよ。わたしについておいで」
「そんな、バカな!」
キツネは、信じられません。
でもタニシは、そこにいます。
キツネは気持ち悪くなって、むちゅうで走り出しました。
本当は、タニシはキツネの尻尾につかまってやって来たのでした。
そうとは知らないキツネは、負けたくないので必死で走り続けました。
そのうちに疲れて、フラフラです。
するとまた、タニシの声が。
「キツネさん、そんな事では、おいこしてしまいますよ」
おどろいたキツネは、またむちゅうで走り続けました。
そして都への道しるべまで来ると、とうとうへたりこんで、
「やっと着いた! タニシに、勝ったぞ! ・・・ふうっ、疲れた。そうとも、キツネがタニシに負けるはずはないんじゃ」
ホッとしたキツネの耳に、またタニシの声が。
「キツネさん!」
キツネはキョロキョロと、あたりを見回しました。
「ここですよ、キツネさん」
タニシが、都への道しるべの上にいます。
「おそいな。今着いたところかい? わたしはとっくに着いて、都見物をすませた後ですよ」
「そ、そんなばかな・・・」
それからというもの、キツネは足が速い事をじまんしなくなったそうです。
おしまい