大きな運と小さな運
むかしむかし、ある山奥のほら穴に、ぐひんさんが住んでいました。
ぐひんさんとは、テングの事です。
このぐひんさんの占いはとても良く当たると評判なので、もうすぐ子どもが生まれる木兵衛(もくべえ)と賢二郎(けんじろう)が生まれる子どもの運を占ってもらいました。
「オン! オン! 山の神、地の神、天の神、木兵衛と賢二郎の子のぶにをお教えたまえー!」
ぐひんさんは大声で呪文(じゅもん)を唱えると、まずは木兵衛に言いました。
「神のおおせられるには、お前には竹三本のぶにの子が生まれるそうだ」
「竹三本の、ぶに?」
「そうじゃあ。人には生まれながらにそなわった、運というものがある。それすなわち、ぶにじゃ」
「と、言うと、おらの子には、たった竹三本の運しかそなわらんのか?」
木兵衛は、がっかりです。
ぐひんさんは、次に賢二郎に言いました。
「お前のところには、長者(ちょうじゃ)のぶにの子が生まれる。お前の子は、長者になるさだめじゃあ」
「貧乏なおらの子が、長者にねえ」