さくら荘のペットな彼女 01 02 著者:鴨志田 一
2023-05-29 来源:百合文库
白、黒、三毛、茶トラ、コゲ茶トラ、シャムもどきに、アメショっぽいのとバラエティ豊かに揃う七匹の猫は、すべて空太が拾ってきた元拾て猫だ律儀にも、ひかり、のぞみ、こだま、つばさ、こまち、あおば、あさひと命名されている。
食事を要求する猫たちに、空太は腹を鳴出して返事をした。ご主人様も空腹を堪えているのだと訴える。
春休み最終日、四月五日。夕刻五時。
赤く染まった二階建ての木造ボロアパートは、水明芸術大学付属高等学校の学生寮だ。
庭にある大きな桜の木から取ったのか、名前はさくら荘。
キッチン、ダイニング、風呂は共有。
学校まで徒歩十分。最寄り駅までも徒歩十分。
その101号室が、この春から二年になる神田空太の根城だ。
部屋の壁には「目標! 脱·さくら荘!!」と空太が今年一番に書き初めでしたためた想いが、堂々とした文字で躍っている。
空太の当面の目標は、彼女を作るでもなければ、甲子園に行くでもない。もちろん、国立竸技場でも、総体でもない。この寮を脱出することだ。
なぜなら、このさくら荘は普通の寮とは少しちが違う。
一般寮での共同生活からはみ出した生徒が集められた更生の場であり。平たく言えば。